クーコの部屋
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父がどうしてもやりたかった仕事
伊達のふる里夏まつりは、福島県梁川の一大イベント。毎年、流し踊り、よさこい、オラトリオ、大花火大会などで盛り上がります。
中でもオラトリオ「水のほほえみ」は、梁川に流れる広瀬川の歴史を、語り、吹奏楽、合唱、独唱、踊り、和太鼓、神輿、などで綴った壮大なストーリ-のステージで、そこから花火大会へとつながり、祭りはクライマックスとなります。
このオラトリオの作詞作曲編曲をしたのが私の父。
毎年、本番では指揮をしてきました。
去年、癌の大手術をした時も、医者に無理を言って早々に退院し、指揮棒を振りました。
その後、転移した癌の治療に通院しながら、仕事を続けてきた父は、今年の8月はじめ、病状が悪化し緊急入院。
それでも、8月14日はどうしても指揮がしたいと。
担当医の話では「とても数値が悪く、起き上がれる状態ではないはず」ということだが、父は指揮をやりたい一心で、毎日病室を歩き回ってその日に備えていました。
しかし担当医は本人にドクターストップを告げ、「どうしてもというなら必ず家族を付き添わせてください」と言いました。
で、父から付き添いを頼まれた私たち家族。
しかし、陰ではこっそりと、「当日になったら『お父さん、その様子じゃ無理だからやめようよ』と言って諦めてもらおう」と話し合っていました。
このイベントが父の生きがいになっているのはわかるけど、これは父が個人で開催するコンサートとは違い、市が主催する一大イベントなのです。このお祭りを毎年楽しみにしている人々にとって、うちの父の病気は関係ない。何かあったら、どれほどの方々にどんなに迷惑をかけるか計り知れません。だから行かせるべきではないと。
しかし、結局は本人の熱意に負けました。
そこで、周りは万全の態勢で臨むことにしたのです。
幸いなことに、震災の影響で祭りは規模が縮小されたため、30分くらいあったオラトリオも、今年に限り20分間というショートバージョンになりました。
リハーサルに出ないで、本番の20分間だけだったらなんとかなるかも知れない。
楽団にお願いして指揮者の代役をたてていただき、リハーサルをお願いし、本番も父が無理な場合はやっていただくことにしました。
当日は、病院から会場までの父の送り迎えの運転が私の夫、付き添いは私と姉。義兄も自分の車で病院へ行き、何か起きた場合のために、そのまま病院で待機。
会場の駐車場には妹が先に行って待機。認知症気味の母は孫たち(といっても全員成人しています)が担当し、客席へ。
私たち家族もですが、関係者の方々も万全の体制で準備をしてくださっていました。
会場のすぐ近くの駐車場が確保してあって、到着すると
「雨が降っているので、車の中で待機していてください」とスタッフが声をかけてきました。
「先生、ステージまでの石段は、うちの若いもんが先生を担いで行きますんで」と、楽団のメンバー。
「先生、リハーサル、ばっちりでしたよ。本番はすぐそばにいますから。いつでも大変な時は言ってください。すぐに代わりますからね」と控えの指揮の方。
そして、本番。
万一突然倒れた場合の支え役として、身体の大きいうちの夫がすぐ後ろに待機。私もすぐに飛んでいけるよう、舞台そでに待機。客席最前列の席には、代役の指揮者の方、その隣には姉と妹が待機。
で、始まりました。
画質はあまりよくないですが、デジカメで撮影した動画です。
私は何か異変があったらすぐに飛んでいけるように、ずっと父の横顔から目を離さずにいました。こんなに緊張してオラトリオを聴いたのは初めて。
そして、なんとか無事に最後まで指揮をすることができました。いやぁ、良かった。
終了したら、すぐに父を抱えて帰ろうという予定でしたが、父は「大丈夫だから」と、舞台袖の椅子に座って、次々、やってくる出演者と笑顔で挨拶していました。
「先生、良かったー」、出演者のみなさまは、笑顔を涙で顔をくしゃくしゃにして、父と握手をしていました。
大成功。
本当にみなさま、ありがとうございました。
中でもオラトリオ「水のほほえみ」は、梁川に流れる広瀬川の歴史を、語り、吹奏楽、合唱、独唱、踊り、和太鼓、神輿、などで綴った壮大なストーリ-のステージで、そこから花火大会へとつながり、祭りはクライマックスとなります。
このオラトリオの作詞作曲編曲をしたのが私の父。
毎年、本番では指揮をしてきました。
去年、癌の大手術をした時も、医者に無理を言って早々に退院し、指揮棒を振りました。
その後、転移した癌の治療に通院しながら、仕事を続けてきた父は、今年の8月はじめ、病状が悪化し緊急入院。
それでも、8月14日はどうしても指揮がしたいと。
担当医の話では「とても数値が悪く、起き上がれる状態ではないはず」ということだが、父は指揮をやりたい一心で、毎日病室を歩き回ってその日に備えていました。
しかし担当医は本人にドクターストップを告げ、「どうしてもというなら必ず家族を付き添わせてください」と言いました。
で、父から付き添いを頼まれた私たち家族。
しかし、陰ではこっそりと、「当日になったら『お父さん、その様子じゃ無理だからやめようよ』と言って諦めてもらおう」と話し合っていました。
このイベントが父の生きがいになっているのはわかるけど、これは父が個人で開催するコンサートとは違い、市が主催する一大イベントなのです。このお祭りを毎年楽しみにしている人々にとって、うちの父の病気は関係ない。何かあったら、どれほどの方々にどんなに迷惑をかけるか計り知れません。だから行かせるべきではないと。
しかし、結局は本人の熱意に負けました。
そこで、周りは万全の態勢で臨むことにしたのです。
幸いなことに、震災の影響で祭りは規模が縮小されたため、30分くらいあったオラトリオも、今年に限り20分間というショートバージョンになりました。
リハーサルに出ないで、本番の20分間だけだったらなんとかなるかも知れない。
楽団にお願いして指揮者の代役をたてていただき、リハーサルをお願いし、本番も父が無理な場合はやっていただくことにしました。
当日は、病院から会場までの父の送り迎えの運転が私の夫、付き添いは私と姉。義兄も自分の車で病院へ行き、何か起きた場合のために、そのまま病院で待機。
会場の駐車場には妹が先に行って待機。認知症気味の母は孫たち(といっても全員成人しています)が担当し、客席へ。
私たち家族もですが、関係者の方々も万全の体制で準備をしてくださっていました。
会場のすぐ近くの駐車場が確保してあって、到着すると
「雨が降っているので、車の中で待機していてください」とスタッフが声をかけてきました。
「先生、ステージまでの石段は、うちの若いもんが先生を担いで行きますんで」と、楽団のメンバー。
「先生、リハーサル、ばっちりでしたよ。本番はすぐそばにいますから。いつでも大変な時は言ってください。すぐに代わりますからね」と控えの指揮の方。
そして、本番。
万一突然倒れた場合の支え役として、身体の大きいうちの夫がすぐ後ろに待機。私もすぐに飛んでいけるよう、舞台そでに待機。客席最前列の席には、代役の指揮者の方、その隣には姉と妹が待機。
で、始まりました。
画質はあまりよくないですが、デジカメで撮影した動画です。
私は何か異変があったらすぐに飛んでいけるように、ずっと父の横顔から目を離さずにいました。こんなに緊張してオラトリオを聴いたのは初めて。
そして、なんとか無事に最後まで指揮をすることができました。いやぁ、良かった。
終了したら、すぐに父を抱えて帰ろうという予定でしたが、父は「大丈夫だから」と、舞台袖の椅子に座って、次々、やってくる出演者と笑顔で挨拶していました。
「先生、良かったー」、出演者のみなさまは、笑顔を涙で顔をくしゃくしゃにして、父と握手をしていました。
大成功。
本当にみなさま、ありがとうございました。
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プロフィール
HN:
クーコ
性別:
女性
職業:
声のお仕事
趣味:
音楽、食べること、お出かけ
自己紹介:
茅ヶ崎在住、ナレーターのクーコです。
2014年に茅ヶ崎とホノルルが姉妹都市締結を行ったのをきっかけにハワイにはまっています。
おもな活動は、「FM湘南ナパサ」パーソナリティー、語りの会「湘南シレーネ」メンバー、「茅ヶ崎ホノルル姉妹都市応援団」副団長。
ナパサはインターネットやスマホアプリでもお聴きいただけます
↓
FM湘南ナパサ・インターネット放送
ボイスサンプルはこちらで公開中。
↓
株式会社ドクナーズ・ジャパン
ナレーター 武田久美子
2014年に茅ヶ崎とホノルルが姉妹都市締結を行ったのをきっかけにハワイにはまっています。
おもな活動は、「FM湘南ナパサ」パーソナリティー、語りの会「湘南シレーネ」メンバー、「茅ヶ崎ホノルル姉妹都市応援団」副団長。
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